軽やかで気品溢れる希少なリグーリアの赤ワイン「ロッセーゼ」

リグーリアといえば、ヴェルメンティーノやピガートなど、魚介類とオリーブオイルのあっさりした地中海料理に合うデリケートな白ワインが有名ですが、忘れてはいけないのがリグーリアのDOC赤ワイン「ロッセーゼ」。ロッセーゼはイタリアのワイン愛好家に根強い人気がある一方で、毎年の生産量が少なく、高い品質のものは常に入手が難しい貴重なワインです。

ロッセーゼは、例えば魚料理と赤ワインを合わせたい時、アペリティーボで気軽に赤ワインを楽しみたい時、ピエモンテやトスカーナの芳醇な赤ワインが重たく感じる暑い日など、そんな時にしっくりくる軽やかな赤ワインです!

ドルチェアックア(Dolceacqua)生まれのロッセーゼ

観光地として散策も楽しいドルチェアックアの旧市街地にはロッセーゼの噴水があります♪

「ロッセーゼ」はワインの名前ですが、ブドウの品種の名前でもあります。ロッセーゼのワインの原料となるロッセーゼ品種のブドウは、実はリグーリアだけでなく、北イタリアの一部の地方でも栽培されています。

ただし!ロッセーゼが最初に生まれた土地はリグーリアのドルチェアックア。地中海が近くて1年中温暖、標高差のある岩の土壌など、ドルチェアックアはロッセーゼにとって良質な実をつけるのに最適な環境だったのです。こうして、ドルチェアックアのけわしい斜面の丘陵地では、古代からロッセーゼのブドウが育ち、その良質な実からロッセーゼのワインが生まれたのです。

リグーリアのワインは総じて希少であることからリグーリアの外に出回る機会が少なく、ロッセーゼがDOC認定されたのも1972年になってから。でも実は、ドルチェアックアのロッセーゼのブドウで作られる赤ワインには長い歴史があります。1600年にはモナコの貴族ドリアがロッセーゼのブドウをとても気に入って、わざわざワインを作らせたという記録が。さらに19世紀にはナポレオンがお気に入りワインの1つとして、常にパリのお城にロッセーゼのワインをキープしていたとか・・・

古くからワインとしてのオリジナリティと品質を高く評価されてきたロッセーゼは、リグーリアで守って行くべき大切なワインなのです!

家族でコツコツとロッセーゼを作り続けるワイナリー

ロッセーゼの名前の由来は「ロゼ」ではなく、イタリア語で岩という意味のRoccia(ロッチャ)。ロッセーゼは岩の土壌で育つことから「ロッセーゼ」と呼ばれるようになりました。

リビエラからそり立つ複雑な地形のドルチェアックアでブドウを栽培するには、かなりの重労働をともないます。そもそもロッセーゼの栽培に適した岩の土壌はごく限られているので、ロッセーゼのブドウの収穫量はドルチェアックアの全体量からとても少なく、ロッセーゼのワインを生産するワイナリーは多くありません。

そんな中、歴史がある貴重なドルチェアックアのワインを熱い情熱で守ろうとする小さなワイナリーがあります。

ロッセーゼはドルチェアックアのこんな斜面で育つので、作業も大変!

今から約30年前、創業者のアドリアーノは別の仕事をしながら、ドルチェアックアの地でブドウ畑をもち、家族で消費するためにワインを作っていました。そのころ、過酷な手作業による重労働と後継者不足によって、ドルチェアックアでは小規模なワイナリーが次々にワイン作りをあきらめ、歴史あるブドウ園が放棄される悲しい状況にありました。

ドルチェアックアの土地とドルチェアックアのワインへの強い愛着をもつアドリアーノは、家族のためだけでなく、たくさんの人にドルチェアックアの素晴らしいロッセーゼを届けることを目標に掲げて、当時まだ10代だった二人の息子と共に一念発起。ドルチェアックアの土地で代々受け継がれてきた歴史あるブドウ園を譲り受け、家族一団となってワイナリーの経営をはじめました。

歴史あるビーニェの年をとったロッセーゼのブドウの木は、実をたくさんつけることができません。それでも、そんな年老いたロッセーゼの木からとれる少量の実は、たわわに実っている若いロッセーゼの実よりもぎゅっと美味しさが詰まっていると言われます。このワイナリーでは、樹齢100年を超えるブドウの木を大切に育てているからこそ、軽やかな中に深みを感じる最高級のロッセーゼに仕上がるのです。

すべて手作業で大事に育てられたロッセーゼ

彼らの自慢は2種類のロッセーゼ。

ロッセーゼ クラシコ
Rossese Classico
ロッセーゼ スペリオーレ
Rossese Superiore
明るいルビー色 深みのある濃いルビー色
特徴 野いちごやベリーのフルーティな香り 濃縮したバラ、樹木のダイナミックな香り
アルコール度数 12.5% 13.5%
ブドウ ドルチェアックア内のロッセーゼ100% ドルチェアックア内のロッセーゼ100%
熟成期間 ステンレスのコンテナーで2ヶ月、それから大きい若い木樽で2ヶ月間熟成 ステンレスのコンテナーで2ヶ月熟成させてから、年季の入ったスラブオークの木樽で12ヶ月間熟成
オススメの飲み方 18-20°が適温。
前菜、パスタ、リゾット、魚料理、鶏肉料理とよく合います
18-20°が適温。
前菜、パスタ、リゾット、鶏肉料理とよく合います

ロッセーゼはデリケートな味わいが特徴のワインなので、じっくり寝かせて熟成させるよりも、製造から2〜3年以内が飲み頃です。
軽やかで魚料理やアペリティーボにぴったりのクラシコ、時間をかけて熟成したスペリオーレ。どちらのロッセーゼもそのクオリティの高さは、一度味わえばわかるはず。さらに究極のロッセーゼの探求は止まず、歴史あるブドウ畑を新たに受け継ぎ、海抜450mを超える場所にある特徴的な風味をもつブドウで「クルー」のロッセーゼも手がけます。

ドルチェアックアのロッセーゼは常に希少です。気候によってさらに希少になる年もありますが、私たちはワイナリーとの長い信頼関係を持っていることから、毎年安定して最高品質のロッセーゼをベスト価格で提供しています。お気軽にご連絡くださいませ

ABOUTこの記事をかいた人

イタリア在住バイヤー&ブロガーです。リグーリアの希少なワインやオリーブオイル、ジェノバっ子だけが知ってる穴場スポットなどを紹介します♪ちなみにイタリア語のブログのフォロワー5000人、ジェノバではCocoJapanとして結構有名人です!