バジル選びからこだわって完成するペストジェノベーゼ

スパゲティとペストジェノベーゼ

ジェノバには世界遺産もあって国際的な観光地にも関わらず、なぜか日本人観光客が少なく、あまり知られていないわりに、バジリコのペストソースやフォカッチャなど、ジェノバのおいしいものは日本にとても浸透していると思います。

イタリアは地域によってものすごく食文化が違うのですが、ジェノバは基本的に魚介類とオリーブオイルを多く使う「地中海料理」です。比較的あっさりしていて、野菜料理も多いので、ジェノバの料理は日本人の口に会うのだと思います。

ジェノベーゼにとってのバジルソース「ペスト」は、日本人にとっての味噌のようなもの。レストランで食べる料理というより、おふくろの味。お母さんが生のバジリコの葉っぱ、松の実をすりつぶして手作りしたものを家族みんなでフレッシュな状態で食べるのがジェノバの一般家庭の風景です。
友人宅の夕食やランチにお呼ばれしてペストを味わうと、家庭によってレシピがちがって、なかなか興味深いです。

たとえば、こんな風にパスタといっしょに角切りにしたジャガイモをいっしょにゆでて、インゲンマメとペストを合わせて食べるのがジェノバの一般家庭でよくやる食べ方です。

スパゲティとペストジェノベーゼ

パスタとジャガイモとインゲンでペスト食べるのがジェノバ流

バジリコはイタリア中にあるのですが、ジェノバの「プラ」というところのものが、イタリアの中でもっとも美味しいとされています。

そんな「もっともおいしいバジリコ」の産地であるジェノバでは、ペストソースは独身男性でも家で手作りして、冷凍庫に備えてあるほどの常備菜。パスタといっしょにパスタソースとして食べるのはもちろん、パンにちょっとつけてオードブルにしたり、ミネストローネの隠し味にしたり、いろんな活用方法があるのです。

ペストジェノベーゼのフォカッチャ

ペストジェノベーゼをトッピングしたチーズフォカッチャ

ペストジェノベーゼのラザニア

ペストジェノベーゼのラザニア

今回のイタリアフェアにあたって、ジェノバの友だちに「どこのペストソースがおいしい?」ときいて情報を集めていたら、みんな「うちのお母さんがつくるペストが一番おいしい」とのこと。

そういえば、ジェノバでは年に1回、「ペスト選手権」なる大規模なイベントが開かれ、プロアマ問わず世界中から集まったペストの達人たちが「一番おいしいペスト」目指して競うのですが、昨年の勝者はなんと80歳の地元のおばあちゃんでした。

でも、お母さんがいないとき、自分で作る時間がないとき、ジェノベーゼがえらぶペストは誰に聞いても「ノヴェッラ(Novella)」でした。本格的なペストをリーズナブルな価格で提供しているのが人気の秘密です。

ジェノバの東に接する海の側の町ソーリにあるノヴェッラのこじんまりとした工場では、毎朝午前4時、チーズのかたまりをおろして、松の実をすりつぶして・・・という最初の最初の過程からペスト作りが始まります。
午後一番にはできあがったペストが容器につめられて、リグーリア中のお店へ向けて出荷されるので、夕方にはさっき作ったペストが店舗に並びます。
ノヴェッラの企業努力のおかげで、こうしてジェノバの住民は、どんなに忙しくても、家庭で丁寧に作ったような香り高いフレッシュなペストがいつでも手軽に味わえるのです♪

ABOUTこの記事をかいた人

イタリア在住バイヤー&ブロガーです。リグーリアの希少なワインやオリーブオイル、ジェノバっ子だけが知ってる穴場スポットなどを紹介します♪ちなみにイタリア語のブログのフォロワー5000人、ジェノバではCocoJapanとして結構有名人です!