【ランゲ】バローロを正しく選ぶための最低限の基礎知識

アマローネ、ブルネッロとならぶイタリアの高貴な3大ワインのひとつ「バローロ」は、イタリア国王に献上されていた歴史もあって「ワインの王様」かつ「王様のワイン」ともよばれ、イタリア人にとって重要なワインのひとつです。

  • 海抜170~540mで生産されるネッビオーロ種のブドウを使用する
  • 最低18カ月を木樽の中で熟成
  • さらに1年を瓶の中で熟成
  • 合計の熟成期間は最低38カ月

たとえばこんな感じに、原料となるブドウを育てる地域や製造工程などを厳しくコントロールされて、その基準にそったワインのみ「バローロ」になるのです。

バローロの基礎知識:ネッビオーロを知ろう!


イタリアで気楽な友だち宅での夕食に持参するデイリーなワインのひとつに「ネッビオーロ(Nebbiolo)」があります。

ネッビオーロはバルベーラやドルチェットなどのように、ピエモンテで生産されるブドウの品種で、かつ、ワインの銘柄でもあります。基本的にコスパがよいのですが、バルベーラやドチェットが土壌の質に大きく影響されず、比較的均一の味に仕上がるのとは逆に、ネッビオーロは土壌によって味がものすごく左右されるという性質があります。

つまり、ネッビオーロのワインを購入するときは「どこのネッビオーロか」が大事ということ。「ドルチェットが好き!」というときほど簡単に「ネッビオーロが好き!」とひとくくりには言えないのです。

さて、バローロは、そんな土に影響されるネッビオーロのブドウ100%のワインです。

バローロ用のブドウを生産する条件「海抜170~540mの丘」があるランゲ地方ははるか昔、マグマが隆起して大陸が形成されつつあるときに生まれたふる~いふる~い土壌、つよい石灰質の土が特徴です。
ブドウの栽培に適したなだらかな丘は、全部が同時期に隆起してできたのではなく、形成された時期がさまざま。おかげで、それぞれの丘によって土壌の性質が微妙に異なるという、土に強い影響をうけるネッビオーロの栽培には複雑な環境です。

そんな理由で、バローロを選ぶときに必要になるのが「ヴィーニャ(Vigna)」の概念です。

要チェック!カンヌービ(Cannobi)のバローロ


バローロのブドウ畑は、「ヴィーニャ(Vigna)」という単位で区切り、名前がつけられています。
ヴィーニャはバローロにざっと170あり、ネッビオーロはそれぞれのヴィーニャでそれぞれの味に育って収穫されるため、ヴィーニャによってできあがるワインの味、香り、品質に大きな違いがでてきます。

当然、「どこのヴィーニャのバローロか?」が、ものすごく重要になってくるため、バローロでは1つのヴィーニャで収穫したネッビオーロだけをつかったバローロ「クルー」とよび、複数のヴィーニャでとれたネッビオーロをミックスして醸造するバローロとははっきりと区別しています。

中でも、バローロの丘の中心に長く位置する「カンヌービ(Cannobi)」は、土壌の質がよく、一番歴史があるヴィーニャです。バローロにある多くのカンティーナは、「カンヌービ」に大なり小なりのネッビオーロのブドウ畑をもって、カンヌービのバローロをつくっています。

「せっかくバローロまできたのに、好きなバローロに出会えない」ときは、カンヌービをセレクトしてみることをおススメ。特にこだわりがなければ「なやんだときはカンヌービ」がけっこう通用するのです。

※ボトルラベルにヴィーニャの名前が書いていない場合は、複数のヴィーニャでとれたネッビオーロをミックスして醸造したバローロといえます

バローロのカンティーナの巡り方

バローロが生まれるランゲ地方は、交通の便がいまいちながら、ワイン愛好者に根強い人気があって、特にバカンスのシーズンでもない3月でも観光客でいっぱい。

世界的に有名なトスカーナやヴェネト、トレンティーノといったイタリアワインの産地と比べると、ピエモンテは「観光地」としてはちょっと後進。洗練されてない部分もちょいちょい目についたりはしますが、2014年には美しいブドウ畑の景観が世界遺産に登録されたし、今後に期待です!

さて、ワインと同じ名前の村「バローロ」は、昔ながらのこじんまりとした町並みを上手にのこしながら、オープンエアーでワインを楽しめる、こじゃれたレストランとワインバーがたくさんあって、村全体が陽気な雰囲気♪

徒歩で到着するカンティーナなんてはじめて♪

木樽で熟成中のバローロ(バラーレ・フラテッリにて)

バローロでまず気に入ったのが、小さな村の中に有名どころのカンティーナがあること。
一般的にワインが有名な町の中心には、エノテカ(ワインショップ)やワインバーがあって、カンティーナ(ワイナリー)は中心からはなれた広大なブドウ畑の中にあることが多く、カンティーナをめぐろうと思えば車移動が必須です。

ところが、バローロはちいさな村の中にぎゅっとカンティーナもエノテカもワインバーもあって、もちろん全部徒歩圏内。1日でかなりの数のテイスティングか可能です♪

カンティーナでは、バローロの製造工程を見学させてくれるところもあり(要予約)、ワイン好きなら興味深い体験ができるはず。カンティーナが歩んできた歴史と経験、こだわりや信念を感じることができます。

バローロは熟成期間を長くとることで、それぞれの特徴的な香りや味の要素がお互いにとけこんで、デリケートな風味になるとされるため、「18カ月以上」と定められた木樽での熟成に、ほとんどのバローロのカンティーナは「3年間」とるとのこと。

ひんやりと冷たい空気を感じながら、ここでこうして4年間もおいしくなるまで待ってるんだなぁ~と思うと、高級ワインのバローロにもなんとなく親近感がわいてきます。

一方、エノテカはカンティーナの壁を超えて、自由にテイスティングができることが魅力。

複数のカンティーナのワインを一気に試飲できるエノテカ「イル・バッコ」

複数のカンティーナのバローロを飲み比べるうちに「値段=おいしさ」ではないことがわかってくると思います!

クルーのバローロには、それぞれのビーニャの土質から継承した「共通するもの」を感じられるので、カンティーナをまたいで、ビーニャについてもこだわってテイスティングしてみると面白いと思います。

バローロと食べるピエモンテ料理がおいしいレストラン

バローロと合う料理はもちろん、バローロをまるまる1本つかったリゾット、バローロで牛肉を長時間煮込んだストラコットなど、バローロをつかった贅沢な料理がお手軽価格で食べられるレストラン。

フレッシュだからこそシンプルが一番おいしい

ピエモンテでは絶対オーダーしてしまうロシア風サラダ

アンティパストやプリモは8~10ユーロ、セコンド(メイン料理)もものすごい良心価格。
内装と外装がまったくステキではないので、友だちがおススメしてくれなかったら絶対に入店しなかった自信がありますが、入ってしまうと店内は地元の人でいっぱい。料理はもちろんおいしいし、店員のサービスもすばらしく、もしかしたら、無駄にツーリストが入ってこないように、わざとださい店構えにしているのではないかと疑ってしまうほど。とにかく超おススメ!

名前 ラ・カンティネッラ(Osteria la Cantinella)
住所 Via Acqua Gelata, 4, 12060 Barolo CN
(Via Romaのどんどんいった町の端っこ)
定休日 月曜日
営業時間 12:30~14:30 / 19:30~21:30
TEL (+39) 0173 56267
COCO
バローロ付近の友達がこぞっておススメしてくれた、地元の人に愛されているレストラン

複数のカンティーナのバローロが試飲できるエノテカ

昔ながらのかわいい店舗、こじんまりとしたスペースで、バローロにあるたくさんのカンティーナの試飲が一気にできるエノテカ。
数年前、日本のフィガロに掲載されたことがあるらしく、記事を見せてくれたのですが、日本人が来たとおもったら、フィガロに掲載された3商品、グラッパ、赤ワイン、パスタだけを全員が買っていく・・・とのこと。
店主のアドバイスはとても的確なので、参考にしながら、試飲してお気に入りのバローロをさがしてください♪

名前 イル・バッコ(Il Bacco)
住所 Via Roma, 87, 12060 Barolo CN
(お城から一番近い位置にあるエノテカ)
定休日 水曜日
営業時間 9:00~12:30 / 15:00~19:30
TEL (+39) 0173 56233
COCO
雑誌よりも自分の舌と鼻を信じて!

カンティーナの見学ができる徒歩圏内ワイナリー

こじんまりとしたスペースで、バローロをはじめ、バルバレスコ、特徴のあるスプマンテなどを製造するカンティーナ。こちらのバローロは、1か月間、皮といっしょにブドウを発酵、木樽で3年間、瓶で1年間熟成させて完成します。強い主張のない繊細な味が特徴。要予約です。

名前 バラーレ・フラテッリ(Barale Fratelli)
住所 Via Roma 6, 12060 Barolo CN
(上記レストランのすぐ近く)
TEL (+39) 0173 56127

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イタリア在住バイヤー&ブロガーです。リグーリアの希少なワインやオリーブオイル、ジェノバっ子だけが知ってる穴場スポットなどを紹介します♪ちなみにイタリア語のブログのフォロワー5000人、ジェノバではCocoJapanとして結構有名人です!